ツーバイフォー工法の家は長持ちしない?
これはセルコホームがカナダ輸入住宅を発売した当初から言われております。
実は今でもこのように仰る方が少なくないのも事実です。
特に日本古来の建築工法ではないから、ツーバイフォー工法の建物は日本では長持ちしないというように仰る方が多いです。
ただし、これは完全なる誤解でして、ツーバイフォー工法の建物は長持ちしております。
(当然しっかりとした施工をしているという前提です)
というのも、多くの方がご存じの『札幌時計台』は実はツーバイフォー工法で建築された建物なのです。
札幌時計台がいつ建築された建物かご存じでしょうか?
明治11年(1878年)です!
現在が2022年ですので、現時点で建築されてから100年以上が経過しております。
他の建物も少しご紹介させて頂きます。
こちらは大正14年(1925年)頃の建築と言われております『冨永様邸』です。
こちらは神戸市東灘区に現存する建物です。
完成後すぐに北但馬地震に遭遇し、その後も室戸台風、阪神大水害、ジェーン台風など多くの災害に遭遇されます。
まだ記憶に新しい阪神淡路大震災にも遭遇し、神戸市東灘区に関しては被害が大きかったのですが、冨永様邸はほぼ無傷でした。
多くの災害に遭遇される事は決して良い事ではありませんが、図らずもツーバイフォー工法の耐久性を示してくれております。
次はこちら。
大正元年(1912年)ころの建築と言われています「旧木下家別邸」です。
現存する日本最古のツーバイフォー住宅と言われており、国登録有形文化財(建築物)に登録され、景観法に基づく「景観重要建造物」にも指定されています。
現在では神奈川県大磯町が所有しており、歴史的建造物として保存する活動もしております。
こちらも関東大震災を経験しておりますが、倒壊することなく100年以上を経過しております。
こういった事例があるにも関わらず、なぜツーバイフォー工法の建物が日本で長持ちしないと言われるのか?
1つの原因として、ツーバイフォー工法のオープン化が1974年と比較的新しいという事が挙げられるかと思います。
日本の木造建築で主流となっている在来工法(木造軸組工法)と比較すると歴史的に浅いと思われています。
実際には明治時代から輸入住宅建築はされていたのですが、オープン工法とされるまでは長い時間がかかりました。
以上の事からオープン化されてからの歴史が浅く、実例が少ないという事がツーバイフォー工法は長持ちしないと言われる原因の1つかと考えられます。
もう1つ、日本におけるツーバイフォー住宅のシェア率も原因と考えられるかもしれません。
日本の新設着工戸数におけるツーバイフォー住宅のシェア率が約12.2%。
実際に建築される建物の中ではツーバイフォー住宅は9戸に1戸の割合ですので、知らない方が多くて当然なんです。
加えて造り手側の話をすると、おそらくもっと割合は少なくなると思います。
単に知らない方が多いというだけなのですが、残念ながら結果としてツーバイフォー住宅は長持ちしないと言われてしまう事が多いと思います。
様々な原因は考えられますが、100年以上前の建物が現存しており、現在も使用されている事実からツーバイフォー住宅が長持ちしないという事は正しくないと考えられます!
実際に本場カナダでは築30年では築浅と呼ばれるぐらいですから。
ツーバイフォー工法がオープン化されてもうすぐ50年。
これから耐久性を証明してくれる建物が増えてくるはずです。
※もし宜しければこちらもご参考にしてみて下さい。
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